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5月7日 (前編)-シーズン2 第1話

朝、ベッドで目を覚ます。昨日はアメフトサークルの練習後、居酒屋で飲んでたら終電をなくしたリュウセイが泊まりにきて、部屋で筋トレをしながらさらに酒を飲み、タイプの女の子とか、部活の話をして、一緒に porn hub を観ながら寝てしまった。

俺もリュウセイもフッパンの境目まで日灼けしていて、そこから上は灼けていない肌になっている。顔も、腕も、灼けていて、汗とフェロモンと酒が混ざった匂いがして、部屋まで部室みたいだ。

リュウセイのパンツはアンダーアーマーで、練習着なのか下着なのかもはやわからない。自分は今日はUNIQLOのトランクスをはいている。お互いのペニスは太陽を浴びて部活をしたせいで、多めのテストステロンが活躍し、俺も、リュウセイも見事な勃起をしている。

男同士だとわかっていても、お互いストレートだとしも、ムラムラしてくることがある。なぜなら、他の部員も、同性の肌触りに欲情することがあって、ハグしたり、ふざけてベッドロックしながら軽い陶酔に入ってることがある。寝ているリュウセイも、無意識に竿の先の感触に溜息のような呼吸をして、モゾモゾと大腿部を動かしたりする。そして、さらに心地の良いポイントがないか探している。

リュウセイの髪や皮膚は芝生の匂いがする。髪の一本一本から、男くさいマウンティングをしかけてくる。俺は、先に起きた特権で、坊主に近いその髪の匂いをゆっくり深呼吸で吸い込んで、灼けた肌に自分の頬をより添わせる。

リュウセイの勃起したペニスに偶然を装い膝を押し付ける。弾力のあるリュウセイのペニスが押し返してくる。太いペニ筋の圧を感じる。リュウセイは裏筋に伝わる同じ男からの加減を知った圧を感じとって、その薄い唇から、密度の濃い息を吐き出している。

俺は、軽く自分のペニスをいじりながら、股間にティッシュを押し当てて、息を潜め、誰にも気づかれないように手を上下に動かす。

しかし、とてもモヤモヤしたまま、その一連の行為を中止し、天井を見つめ、はじめから何もなかったように、やり過ごす。行方知らずのマスターベーションが放置される。

リュウセイとの距離と関係はとても難しい。

俺はトイレに行って手を洗い、そのついでに顔を洗って、新しいタオルをとりだし、顔を拭きながら、冷蔵庫からレッドブルを取り出して飲みながら料理をはじめる。鍋で湯を沸かし、茹で卵をつくり、プロテインをシェイクする。サラダチキンにタイ料理のラープパウダーを絡めて少しだけ白ワインを入れてチンをする。ワインは蒸発し、パサパサだったチキンがしっとりと柔らかくなる。ラープのライムテイストの香りと酸味がつき、お皿にスライスした茹で卵と盛る。

間もなくリュウセイを起こし、一緒に朝食をとる。全てが完璧にはじまる。

今日は、午後からマッサージの予約がはいっていて、5月5日に続いて2人目のお客さんだ。5月5日は東京レインボーパレードがあり、俺は、セイジさんと代々木に観に行っていた。沿道にはたくさんの人が溢れ、会場にはたくさんの企業ブースや出店がでていた。

セイジさんは、数年前はこんなに大企業のブースはでていなくて、もう少し内輪な雰囲気があったんだと言っていた。良いのかどうなのか、時代とともに変わっている、それも急速に変わっていると話していた。毎年、レインボーTENGAを買っているらしく、施術ルームに飾ってあるレインボーTENGAは、セイジさんが買ってきたやつらしい。昨年のTENGAはスタッフがお客さんにつかってしまい、ひどく怒っていた。(笑)

いや、それつかうか? マジで? (セイジ)

今でも思い出すと腹が立つらしい(笑)

ブースをいろいろ観て周った後、俺はお客さんの予約時間にあわせてルームに戻った。セイジさんもついてきてくれて、部屋のセッティングとか照明とか問題ないかみてくれた。優しい人だ。

セイジさんはお客さんの来る時間が近づくと 頑張れよ! と言って退室した。いよいよ、俺の初仕事だと思うと、緊張して吐きそうになった。

1.2分して、

ピンポーン とインターホンが鳴り、

- はい。お待ちしておりました!

と応答すると、モニターにはほくそ笑むセイジさんがうつっていた。練習練習(笑)近くのカフェで待っててやるからw と言いながら、セイジさんはまた去って行った。

やられた。もう疲れた💦

コンクリートの壁を見つめ、天井を見上げた。どんな人が来るんだろう。変な人だったらどうしよう… かっこいい人でもどうしよう… Twitterのタイムラインのように思いが駆け巡り、死にそうなくらい心臓がバクバクした。やっぱり俺ゲイマッサージむいてないのかも。iPhoneで手技のメモを開いたり閉じたり、頭に入らない復習を手癖みたいにした。

世界がこのまま止まればいいのにと思った。全ての人が動きを止め、部屋に閉じこもり、電車も止まり、経済も恋愛活動も止まり、東京オリンピックも止まり、時間が永遠に止まり、ゲイマッサージデビューなんてしないまま、普通の学生で、普通のアメフト部して、普通の焼肉屋とかでバイトして、大手に就職できたらいいのに!

ピンポーン

支離滅裂に考えていると、無慈悲にピンポンが鳴り、全ての思考を停止させた。と同時に、時間が1秒ずつ、いや、2秒ずつかと思うくらい、あきらかに時間がはやく動きだした。

はい。

インターフォンをとり、はい、しか言えなかった。

あ、あの、予約していた柳田ですけど…

あ、はっ、はい! お待ちしておりました。

正気に戻り、ドアを開けると、そこには、俺と同い歳くらいの、短髪で筋肉質の、どうみても俺よりかっこいい人が立っていた。

俺は、全く意識もせず、驚きのあと、自然な笑顔でその人を見つめていた。


つづく




5月7日(中編) - シーズン2 第2話 


柳田さんは靴を脱いで、とても丁寧に出口にむけて並べた。ニューバランスのスニーカーだった。


ラグビーかアメフトをやっている人だろうかと思った。セイジさんは身体をみたら何部かわかるって言ってたけど、自分にはまだよくわからなかった。


ただ、首が太く、自分がやっているアメフトの雰囲気と少し違う感じがしたので、ラグビー部かな、と思った。


 - どうしたらいいですか? (柳田さん)


 - あ、すみません。こちらにどうぞ


緊張して、ご案内を忘れていた。俺は柳田さんにTシャツとパンツになっていただくようにお願いし、預かったTシャツを傷まないように裾からハンガーを通し、クロークにかけた。チノは籠に畳んで入れた。


- ゆったりとソファにかけてお待ちください


しどろもどろそう伝えて、お茶を用意した。漢方茶で自分で選んだものだ。各スタッフは自分でアレンジをしてお客様におもてなしをしている。少しでもお客様に楽しんでもらいたいからだ。


 - ど、どうぞ


漢方茶をだし、柳田さんを見ると、やっぱりイケメンだった。はちきれそうな太腿と、太い腕、上腕二頭筋も三頭筋も見事に鍛えられていた。顔は一重でシャープだけど優しさが滲んでいて、肌はエネルギーがあり程よく灼けている。短い髪は直毛でつんつんに立っていた。


俺は、正直まだ新人で、テクニックも何もないのだけど、少しでも一生懸命やろうと思って、こっているところや、たくさんしてほしい箇所を聴いた。


柳田さんがシャワーからでてくる頃には、すっかり頭が真っ白になって忘れてしまったのだが、とりあえず聴いた。


シャワーからかえってきた柳田さんは、全裸で小さなタオルからはほぼ股間がでてしまっていた。仮性包茎の太いずんぐりとした性器だった。


- あのっ タオルどうしたらいいですか? (柳田)


- お、お預かりします


とてもぎこちなく施術ベッドに案内し、うつ伏せに寝てもらった。今まで出会ったことも話したこともないようなイケメンがそこにいた。


瞬きをしても、まだ、その現実はそこにいた。


- では施術をはじめます


よろしくお願いします、と小さく柳田さんがうつ伏せのままこもった声で言った。


足裏のツボを押して、手にオイルをつけてゆっくりふくらはぎに手を滑らせてゆく。セイジさんに秒速5cmのスピードを意識するように言われた。


イギリスで行われた実験によると、対象者の肌を3つの異なる速さ(1秒に50cm1秒に5㎝、1秒に0.5㎝)でなでたときに、最も気持ちいいと感じられるのは1秒に5㎝の速さということがわかり、そして、その速度でふれたときに最も反応する神経線維「C触覚繊維」というものが発見されたらしい。


C触覚繊維」は、1秒に5㎝の速さでふれるともっとも興奮し、それ以上でもそれ以下でも興奮しなくなる。ここに受けた刺激は神経線維を伝って脳へ届き、呼吸や血圧を司る「脳幹」、感情に関わる「扁桃体」、自律神経やホルモンの調整を司る「視床下部」、情動や「自己」の意識とも深く関わる「島皮質」、意思決定や感覚統合する「眼窩前頭皮質」等広い範囲に影響し、体全体のホメオスタシス(体温や免疫力、血糖等を一定範囲に保つ機能)や、アロスタシス(ストレスを受けたときに生じる体の変化を、元に戻す機能)を一定に保つ働きをしているそうだ。


盛り上がったふくらはぎから手を滑走させ、太腿から睾丸のあたりまでゆっくりと手のひらでトリートメントする。薄毛の肌が手のひらに心地いい。精液がたっぷり溜まった睾丸が手の甲にかすかに触れる。


柳田さんはふーっと深い息を吐き、自分の手で気持ちよくなってくれているのだと思うと、嬉しくて、少しHな気持ちにもなりドキドキする。そして自分も少し勃起する。


発達した臀筋や、背筋、そして僧帽筋とトリートメントを進めるほどその鍛えられた綺麗な筋肉のフォルムと指先や手のひらから感じる隆起と造形が理想のタイプだと感じさせる。


自分なんかが触っていいんだろうか💦


そんな思いがこみ上げてくる。でも柳田さんは気持ちよさそうに眠っていて、時々、気持ち良さそうな深い息を吐いている。


背面が終わり、仰向けになってもらうと、柳田さんの息子は25cmくらいに勃起していて、焼き芋が股間に生えているようだった。上にむかって力強く生える焼き芋の皮は誰かが剥いて食べごろになっていた。少し芋の蜜が鳴門金時芋みたいにトロっとたれていた。雄の結晶だった。


- す、すいません。


なぜか俺は謝ってしまった。あまりにもすごいものをみてしまい、そんなふうに自分がしてしまったことへの、畏怖と畏敬の念がまざったような複雑な気持ちだった。


柳田さんは寝ていた。


下肢からゆっくりとトリートメントして、股の付け根や鼠蹊部を行う。お腹をゆっくり時計まわりに揉み、大胸筋や腕をほぐしてリンパも流してゆく。


そして、エサレンマッサージのように、途切れなく波のようにシームレスに全身をゆっくり軽擦し、次第に睾丸に近づき、濃厚な精液がたっぷり詰まった柳田さんの重いずっしりとした袋を丁寧に施術する。


そして、おっきい皮の剥けた蜜で濡れた焼き芋にさらにオイルを垂らして、ゆっくりと丁寧に広げてゆく。竿に筋が通っていた。目にタオルをのせて眠っていた柳田さんは、くはぁ〜という喘ぎ声かため息かわからない息を吐いて、また深いリラックスに入る。


俺はかけてあるタオルをはだけて、小さい柳田さんの乳首を舌で舐める。感じにくいのか、一度目は無反応だったけど、舌先で押しつけるようにしてグリグリと圧をかけると、んンン〜と喘いで、そしてまた深い息を吐いた。


俺は緊張と興奮で、時間の感覚が全くなくなって、ただ、タイプの人とセックスをしているような気持ちになって、無我夢中で乳首やお臍や、脇の下を舐めまくった。小さな室内にペチャペチャと淫靡な音と柳田さんの喘ぎ声だけが響いていた。時おり日焼けしたアスリートの柳田さんの肌と汗の匂いが漂った。柳田さんの太い声で気持ちよさそうに喘ぐのが快感だった。


柳田さんの頭の下に腕を入れて、腕枕をしてその手で反対の乳首を触り、もう片方の乳首は舐めて、反対の手で焼き芋を擦り上げた。柳田さんは女みたいな声を上げた。柳田さんを昇天させてあげたくて、今まで誰にもしてもらったことがないような気持ちいい射精をしてもらいたくて、夢中になってめちゃくちゃに舌も手も動かした。舌先で柳田さんの汗に混じるフェロモンを嗅いだ。雄の中に雌が混ざりはじめていた。


柳田さんは感じすぎて全身が汗だくになっていた。肌は火照り、感じるたびに肛門がヒクヒクしていた。唇はキスを求めるように薄く半開きになり、その隙間から舌で俺を探していた。


ベッドの上で主従関係がかわり、今は俺が主人だった。体育会の逞しい雄が乱れまくって自分の手で出し惜しみなく本能を剥き出しにしていた。


乳首と全身と睾丸と皮剥け焼き芋を満遍なく愛撫する。たくさんの性感帯を同時にせめて頭がおかしくなるくらい快感の波を次から次へと浴びせてやる。その頂点に向かう何度目かの欲情が沸騰した時に、舌と手と指先で激しく三点を責めて一気に快感の滝を昇らせる。大胸筋はピンクに色づき、快感に喘ぐ頬も紅潮して全身鳥肌勃っていた。


- ングぅ


やがて、柳田さんは腰を激しくのけぞりはじめた。俺の腕にしがみつき、耐えきれない、といった喘ぎ声をだす。ングぅ 腰のピストンとグラインドはだんだん激しくなる。雄らしく、でも雌みたいに感じながら、どんどん腰の動きが激しくなる。焼き芋が俺の手の中で激しく宙を突きまくっている。摩擦と突きで怒張し血管が浮かび上がり、今にも爆発しそうだ。柳田さんは雄っぽい雄叫びとともに激しいピストン運動をしながら、女に中出しするようにパンパン腰をグラインドさせ、射精射精マンコ気持ちいいー女のマンコ気持ちいい!!って叫びながらついに白濁したどろどろの雄汁(雄甘酒)を壁までぶっ放す射精をした。壁が受精するんじゃないかと思うほど粘りのある濃い精液が壁に塊ではりつき、その粘度からまだ垂れずにへばりついていた。


自分は放心状態で、手についた柳田さんの雄汁の匂いを嗅いだ。夏草の臭いがした。



つづく