実践 オイルトリートメント講座 初級 ①

施術目安 10分


① お客様には施術の2時間前からはお酒とお食事を控えていただきます。お酒やお食事がたくさん入っていると気分が悪くなる方がいらっしゃるためです。お客様の体調やアレルギー、持病や不調箇所等を確認したらシャワーを浴びていただきます。伝染性の皮膚病や癌のお客様はお断りしなくてはならない場合もございます。また手術から2年以上経過していないお客様や持病のあるお客様はマッサージ受けていいかドクターに確認する必要があります。

お客様がシャワーを浴びて帰っていらっしゃったら、うつぶせに寝て頂き、ドレーピングと言ってタオルなどを上からかけます。部屋の温度や寝心地そうしたものがお客様にとって快適かどうか確認をします。

そしてまずはオイルをつけずに足裏をマッサージしましょう。

上記の施術を左足から行いながら少し気に留めて施術をしてほしいツボが2つあります。

湧泉という経穴(ツボ)があります。

足でグーをした時、足裏でいちばんへこんでいるところが湧泉です。足裏を3等分して約3分の1のところです。

足裏の中央、第2と第3の指の骨の間にある湧泉は、気力や体力を高める効果があるため、「万能のツボ」とも呼ばれています。足を使い過ぎた場合の筋肉疲労の回復に効果があります。湧泉へのマッサージは、両手の親指を使って強めに3秒ほど押し、3秒ゆるめることを数回繰り返しましょう。しだいに湧泉がじんわり温まってきます。

首のコリをほぐし、頭の血行をよくします。体のだるさ、つかれを取り、足の冷え、不眠にも効果がある万能な経穴とされています。


次に失眠と言うツボがあります。踵(かがと)の中央にあるツボで奇穴(きけつ)です。ツボは基本的には経絡に所属していますが、経絡に所属せずに独立しているツボもあります。こういったツボを「奇穴」といい、固有な症状の治療に用います。失眠は中国語で不眠を意味する言葉。ずばり不眠に効果のあるツボです。むくみにも効果があります。足は第2の心臓と言われるように、血液が心臓に戻るのに大切な部位で、足裏を刺激すると血液や水の循環に効果を発揮します。


上記2つのツボを意識しながら、それ以外にもまんべんなく足裏を押してあげてください。足裏には様々な経穴、反射区、足底筋膜がありどこを押しても効果的です。どの流派の観点からアプローチするにせよ、良い結果が得られるでしょう。
 
フット専門のお店では足裏だけで60分くらい施術をすることもあります。オイルトリートの前に5分ずつ行うだけでも両足で10分の施術になるでしょう。以下は台湾式フットリフレクソロジーの流派で使われる反射区の一覧です。




② へ続く




実践 オイルトリートメント講座 初級 ②

施術目安 10分 (足裏からのトータル施術時間20分)



足裏の施術が終わりましたらいよいよオイルをつけてオイルトリートメントに入ります。リンパを流すことも意識して左脚の心臓から遠い部分から、リンパ節に向かって基本的にはアプローチします。

① まずアキレス腱をよく圧迫します。



② ふくらはぎをアキレス腱の少し上あたりから、膝裏に向かって膝裏の手前まで指で筋肉を擦り上げます。ふくらはぎの面積を内側から外側まで満遍なく全て指で擦り上げるまで数回行います。指の腹でそれができたら、次は手のひらで同様に行います。


③ 続いて太ももの裏も同様に行います。やりやすいように手や指を変えて行ってください。また自分の腰を痛めないように楽な体勢で体重移動や施術位置も変えて行ってください。

左脚が終わったら、右脚も同様に行います。指の腹で滑らせた後は、写真にはありませんが、ふくらはぎを行った時と同じように、手のひらの手根の部分を使って太ももの裏を同様に施術します。ゆっくりとお客様の呼吸をスローダウンさせるような気持ちでおこないます。中の筋肉をイメージしながら行うと良いでしょう。太ももの裏は内側や外側の両サイドもしっかりと行ってください。コっている筋肉は、少し押しただけでも痛みを感じやすいのでお客様に加減を伺いながら行いましょう。

片脚5分ずつ 両脚で10分が目安です。

また、足の疲れやむくみなど足の症状に効く承山と言うツボがあります。ぎっくり腰にも効果があると言われています。施術をしながらこちらもゆっくりと5秒ほど指の腹で押圧しましょう。




実践 オイルトリートメント講座 初級 ③

施術目安 5分 (足裏からのトータル施術時間25分)





解説のために分けていますが、初級② と連続して施術をするとスマートだと思います。つまり左脚と左のお尻をセットにして右脚と右のお尻をセットにします。

⬆︎ ① まず筋肉の流れに沿って、手のひら全体を使って下から斜め上に流します。




② 続いて手根の部分で揉みしだくように下から斜め上に流します。
③ 最後はしっかりと指で押圧します。4ルート3点 12ヶ所程を押します。




実践 オイルトリートメント講座 初級 ④

施術目安 15分 (足裏からのトータル施術時間 40分)



いよいよ背中から首肩の施術に入ります。まずは背中の施術です。こちらをご覧ください。



1枚目  タイ古式マッサージのセンと呼ばれるツボのようなものが直線上に並んだラインの解説図。電線の背骨の両脇に1番ラインと2番ラインが存在する。

2枚目  東洋経絡の経絡図。こちらも背骨の脇に2本並ぶ。

3枚目  反射区の解説図。こちらも背骨の脇に存在する。

4枚目  筋筋膜経線の浅層バックラインの図。筋膜と筋肉の連携が背骨脇に存在する。


背中はどの流派によっても大体背骨の脇に重要な箇所が存在しています。ですので初心者の方はこの場所を重点的に行ってください。けっして背骨や骨は押さないように注意してください。

わかりやすいのでタイ古式マッサージのセンの取り方で解説します。

1 のラインは、背骨のすぐ横の少しくぼんだラインです。
2 のラインは、1のラインの指一本外側です。

それぞれのラインについて、以下の写真のように親指で下から上にオイルで滑らせて圧を加えながらゆっくり上って行きます。それを交互に5回ずつ繰り返します。


指で上記のみを繰り返し行うと痛く感じる方もいるので、以下のように、手のひらでリンパを流すように軽く擦る手技も織り交ぜましょう。1ライン→2ライン→手のひら→1ライン…   みたいな感じです。なのでこちらも5回行います。

下から肩に向かったり、下から脇に向かったり いくつかのパターンを織り交ぜましょう。



そしてオイルで滑らせた2つのラインを、今度は指で一つ一つ丁寧に押していきましょう。


東洋経絡上、絶対に忘れてはいけないツボに 志室 があります。こちらもジンワリ5秒ほど押しましょう。





実践 オイルトリートメント講座 初級 ⑤

施術目安 10分 (足裏からのトータル施術時間 50分)


日本人のお客様に訴えが多い肩こり、いよいよそこに踏み込みます。筋筋膜経線の繋がり上、繋がっている背中や下半身などをしっかりとほぐしていれば、それだけでも少し柔らかくなっているはずです。

施術をする前に、まずお客様の手を軽く万歳のような姿勢にしていただきましょう。その筋肉をほぐすとき、筋肉がほぐれやすい姿勢をとっている必要があります。なので肩の筋肉がほぐれやすい状態にしていただきます。

他の部位でも同じことが言えるのですが、この講座は初心者向けですので、要所である肩でだけそれをやりましょう。

⬇︎ こういう姿勢、手の位置です。



そして以下の経絡上のツボをひとつずつ60秒じんわり痛すぎない程度に押していきます。(両指で14カ所7分になります。辛い時は片方ずつ行い、14カ所14分かけても構いません。)
ツボは少しでもずれると効果がありません。ツボの名前でいろいろ検索をしてツボの正確な場所をつかんでください。

※ すべて体の真ん中より背面側になります。初心者の方は危険ですので、頚動脈がある前面側に指が行かないように注意してください。



そしてツボを押すのが終わったら、残りの3分で足元から肩まで両手のひらを滑らせて、途切れなく全身を流します。これによりパーツパーツを施術してきたものが統一感が得られ、背面の最後に統一された安心感をもたらします。

以上で背面は終わります。




オールアウト(リフレッシュ)を行う場合は、ここから上向きに体勢を変えていただき、10分間のオールアウト施術となります。ロングストロークで全身にオイルを塗布した後に始めると刺激的でスムーズでしょう。

またオールアウト(リフレッシュ)がない60分施術の場合は、ここまでを40分くらいで仕上げ、ここから上向きに体勢を変えていただき、以下の施術の続きから要所要所をかいつまんで20分でまとめ上げましょう。

時間を短縮する時、スピードを上げるのではなく、あくまでストロークをゆっくりと行い、手技を減らしましょう。


実践 オイルトリートメント講座 初級 ⑥

施術目安 10分 (足裏からのトータル施術時間 60分)


お客様に上向きに体勢を変えていただきます。この時にトイレや喉が乾いていないかお声掛けすると良いでしょう。そして左脚の踵あたりから、内側2本、外側3本のラインを指の腹で圧を加えながら2回ずつ膝近くまで滑らせて行きます。




三陰交や足三里のツボもじんわり5秒程、指の腹で圧をかけるといいでしょう。
そして、膝から太ももの付け根まで手のひらと指の腹、両方で圧をかけていきます。
太もも全体に行き渡るように何回もルートを変えて膝上から脚の付け根まで行います。


そして、鼠蹊部の付け根の大腿動脈の血流を止めて流しましょう。鼠蹊部には鼠蹊部リンパ節もあり、老廃物が流れやすくなります。一連の左脚の施術が終わったら、続いて右脚の施術にうつります。






実践 オイルトリートメント講座 初級 ⑦

施術目安 15分 (足裏からのトータル施術時間 75分)


オモテ面の下半身が終わりましたら、今度は手と腕の施術を行います。まず左手からです。


手のひらには沢山の反射区やツボがあります。ゆっくりとじんわりとそれらを指の腹で押していきましょう。手のひらだけで片方3分かけて大丈夫です。
面白いのは、労宮と言うツボが、左手の反射区の太陽神経叢とほぼ同じ場所である点です。太陽神経叢も、自律神経に深く関わっている場所です。流派は違いますが、この場所を押すとどちらの流派も気持ちが落ち着くと言っているのです。

手のひらが終わると、そのまま手の甲の施術に入ります。


合谷と言うツボは、ツボの中のツボと言われ万能のツボです。実はプロのマッサージ師でも正しくこのツボを捉えている方は多くはありません。(とりあえず施術でお金をとっている人を全てプロと呼んでいます)下の図のように人差し指よりの場所です。


そしてまた手のひらを上に戻し次は腕の施術に入っていきます。


まずは神門と内関のツボを押します。そして、以下のライン上の筋肉を骨を押さないように手首側から肩側に向けて指の腹でじんわり押していきます。

終わったら、手のひらで2つのラインを覆うようにオイルで手のひらを滑らせて流します。


腕の外側も同様に行います。


左手左腕が終わったら同様に右手右腕も行います。



実践 オイルトリートメント講座 初級 ⑧ 準備中

施術目安 15分 (足裏からのトータル施術時間 90分)



まずお腹を時計回りに軽擦します。

へそのあたりを中心に大腸が動く方向に合わせて、「の」の字を書くように優しくさすっていきます。
 
まず右下腹部からスタートし、次にへその右、へその上、へその左、左下腹部という順番で移動してください。

また以下の部分を優しくじんわり押します。ツボの場所で小さく円を描いても大丈夫です。お腹なので特に優しく行ってください。またお客様が妊婦の方の場合には行わないで大丈夫です。



次に鎖骨下を中央から脇に向かって左と右それぞれ3回程軽擦します。ロングストロークで腕の方まで流しても心地よいでしょう。ここには鎖骨下リンパ節があります。

また、胸郭出口が鎖骨の下にあります。
腕や手の痛み・しびれを感じ取る神経が首からこの胸郭出口を通って指先まで分布しています。

また雲門というツボがあります。鎖骨下を肩関節へ向けて指をすべらし止まる窪みで、体の真ん中から親指の幅6本分外側にあります。

呼吸器系の症状に広く使われるツボです。咳や息切れなどによく用いられています。風邪や喘息、気管支炎などにも効果があります。

また、肩から腕、胸にかけての機能を整える働きがあり、肩こり、胸痛、腕の痛み・しびれ、背中の痛みなどの症状の改善にも有効です。


そして仰向けのままでよいので左右前鋸筋をほぐします。
ここをほぐすことで、続く大胸筋がほぐれやすくなります。


続いて左右大胸筋の施術を行います。


ここまでできると、背面の最後の時のように、足元から上半身そしてそのまま腕のほうに途切れることなく手を滑らせて全身を数回軽擦して、パーツパーツだった施術に統一感を持たせてください。お客様もそのことにより安心します。リフレッシュがある方は残りの時間で睾丸マッサージやリフレッシュを行ってください。

リフレッシュがない方は全身の軽擦を長めに行った後、以下の小顔のツボを押すフェイスマッサージをつけると良いでしょう。オイルで指が滑るのでお客様の目鼻に滑って指が当たらないように細心の注意を払ってください。5秒ほどじんわり押します。




以上で90分の施術が終わりです。


最初の理論解説の講座でも書きましたが、職人の道は10年やってやっとスタートラインだと言われています。施術のパターンや理論、手技は奥が深く、やればやるほど面白くなっていきます。そして学ぶ事は尽きません。

今回は初級講座と言うことで、90分までの施術が出来るように、とても基礎的なことや最低限のことを書かせていただきました。ぜひこれをきっかけに奥深い施術の世界に踏み出していただけると幸いです。

青山直樹

☝️ より深い内容はブログでもたまに書いています。